
こんなお困りごとはありませんか
コストや納期の事情で仕入先を変えたら、書類上は同じ材料のはずなのに、届いた製品を手にすると「どこか違う気がする」ことはありませんか?
色、質感、加工したときの感触、具体的には下記のような内容です。
- 以前より色が少し濃い、または薄い
- 表面の光沢や質感が違う
- 切削・研磨・曲げ加工の感触が変わった
- バリや割れが増えた
- 溶接のしやすさや仕上がりが変わった
- 同じ材料記号なのに、完成品の色や寸法が安定しない
- 不良率や加工歩留まりが以前と変わった
実際のご相談でも、「見た目や色合いが以前と違う」「表面の光沢や質感が違う」「同じ材質表示なのに成分が違うように感じる」といった違和感をきっかけに、旧品と新品を比べたいというお話をよくいただきます。
こうしたときは、最初から原因を決めつけず、旧品と新品を同じ測定条件で、同じ箇所を比べることを大切にしています。
そういう感覚の違和感は、案外正しいものです。でも、感覚だけでは仕入先にも社内にも説明できません。
そうは言っても、違和感を「気のせいかもしれない」と流してしまうと、後工程で問題が発生する可能性も出てきます。
「仕様書は同じ」でも、違いが出ることがあります
材料規格は、成分や性能について一定の範囲を定めたものです。つまり、同じ材料記号であっても、規格で認められた範囲内に成分のばらつきが存在することがあります。
また、品質の違いは成分だけで決まるとは限りません。
- 原材料の仕入れ先
- 溶解・鋳造方法
- 熱処理条件
- 圧延や鍛造などの加工履歴
- 表面処理やめっきの条件
- 保管環境や輸送状態
このような違いが、色、光沢、硬さ、加工性、表面状態などに影響することがあります。
たとえば、同じステンレス系の材料であっても、表面処理の違いによって光沢や色合いが異なる場合があります。また、成分の微妙な違いや製造履歴によって、切削時の感触や工具の摩耗、加工後の表面状態に差が出ることもあります。
そのため、「仕様書が同じだから、製品も完全に同じ」とは限りません。

まず手元にそろえておきたいもの
違いを確かめるうえでいちばん役立つのは、旧仕入先の製品と、新しい仕入先の製品を、両方手元に残しておくことです。
それぞれの現品があるか、仕様書やロット情報が分かるか。そして「どこが、どのように違うと感じるのか」を言葉にしておきます。
色なのか、光沢なのか、加工したときの手ごたえなのか、その時の感覚を文面に残しておくと、調査の方向が決まりやすくなります。「旧品は廃棄してしまった」となると、比較そのものができなくなるので、切り替え後もしばらくは旧品を手元に置いておくことは必要です。
旧製品と現行品を、比べて調べる
現品がそろえば、両者を同じ条件で測ります。
同じ部分の元素の種類と割合を比べ、材料の成分や表面処理に違いがないかを確認します。
これで「気のせい」なのか「実際に差がある」のかを、客観的な情報として整理できます。

比較して明確な元素差が見つからなかった場合も、「今回XRFで確認した元素組成については大きな差が確認されなかった」という結果そのものが、次の判断材料になります。その場合は、加工条件や熱処理、表面状態など、XRFでは確認できない要因へ調査の範囲を広げていきます。
反対に、再現性のある元素差が確認できたときは、その差を、材料・めっき・表面処理・仕入先などを確認する手がかりとして使います。
島津製作所も、周囲の材料の影響を抑えながら材質を見分ける例を公開しており、こうした比較に蛍光X線分析が活用されています。
切り替える前に確認できると、なおよい
できれば、仕入先を切り替える前に旧品と新品を比べておけると理想的です。
量産に入ってから気づくと、すでに大量の在庫や製品ができてしまっています。
量産開始後に品質差が分かると、次のような問題につながる可能性があります。
- 仕掛品や完成品の廃棄
- 加工条件の再設定
- 工具や金型の調整
- 納期の遅延
- 顧客からのクレーム
- 原因究明のための追加費用
不具合が完成品に出た段階で発覚すると、工程を遡っての調査や作り直しが必要になり、費用も時間もかかります。
「切り替えの候補が出てきた」という段階で一度確認しておけば、そのリスクを減らせます。

データは、話し合いの共通言語になります
色や質感の違いは、人によって受け取り方が変わります。
感覚だけで「違う気がする」と仕入先に伝えると、どうしても感情的な話になりがちです。
そこに客観的なデータが加わると、社内での説明も、仕入先との話し合いも、ずっと進めやすくなります。
「この部分の成分がこう違う」と示せることは、判断と交渉の土台になり、お互いにとって、建設的な話し合いの場をつくれます。
旧品がない場合でも、できることはあります
「旧品はもう手元にない」という場合でも、手が打てないわけではありません。
同じ材料記号の規格値と、現行品の成分を照らし合わせることで、「仕様の範囲に収まっているか」という観点から確認できます。
旧品との直接比較には及ばないものの、現行品を材料規格の代表成分範囲と照合し、XRFで確認可能な元素組成について規格との整合性を評価することは可能です。ただし、XRFで測定できない元素や機械的性質、熱処理状態等を含めた材料規格への適合をXRFのみで確定することはできません。
まず現行品だけでも持ち込んでいただければ、何ができるかをご説明します。
にじや分析ラボにご相談ください
仕入先の切り替えは、コスト面でメリットがある一方、品質の変化に気づきにくいという難しさがあります。
にじや分析ラボでは、旧製品と現行品を比べ、違いの有無を確認するお手伝いをしています。
切り替えを検討している段階でも、切り替えた後で気になりはじめた段階でも構いません。判断の材料として、ぜひご活用ください。
分析方法や確認できる内容は、材質、形状、表面処理、試料の状態によって異なります。
ご相談の際は、可能であれば旧品・現行品の両方と、仕様書、材料証明書、ロット情報などをご用意ください。

投稿者プロフィール

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にじや分析ラボ 分析担当
株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや分析ラボにて、島津製作所 EDX-7200を中心とした蛍光X線分析(XRF)による材料分析・元素分析・材質評価に取り組んでいます。
「材質が分からない」
「仕入れた部品が以前と違う」
「良品と不良品の違いを調べたい」
「めっきや表面処理を確認したい」
「不具合が発生したが、何を調べればよいか分からない」
こうした中小企業・小規模事業者が抱える材料・品質・調達・不具合などの課題に対し、分析を問題解決に活用することを目指しています。
「分析設備と分析担当者を、必要なときだけ。」
社内に高額な分析設備や専任の分析担当者を置くことが難しい企業のための「外部分析室」として、分析方法が決まっていない段階からご相談いただける体制づくりを進めています。
■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや分析ラボ 分析担当
■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設
■分析・技術分野
・蛍光X線分析(XRF)
・元素分析
・材質評価
・製品・部品の比較分析
・めっき・表面分析
・膜厚分析
・RoHSスクリーニング
・不具合・原因調査
・サイレントチェンジ調査
■主な分析・測定機器
・島津製作所 EDX-7200
・SPECTRO SCOUT
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ






