
製品や材料を調べてもらおうと、分析会社のホームページを開いたものの、サービス一覧を見て手が止まる。
「基礎元素分析」「材質評価」「膜厚・めっき分析」——調べたい対象は決まっているのに、どれを選べばよいのか分からない。
問い合わせをしようにも、分析方法が決まっていなければ話が進まないのでは、と迷うこともあるのではないでしょうか。
そんな時は、サービス名を選ぶ前に「何が起きていて、何を知りたいのか」を当ラボにご相談ください。
実際、分析方法まで決められないままご相談いただくことは珍しくありません。「材質を知りたい」「以前の製品と何か違う」「変色した原因を調べたい」「仕様書どおりの材料か確認したい」——こうした困りごとを入り口に、調べ方を一緒に整理していきます。
ご相談は、困っていることや不安をお伝えいただくところから始まります。
「以前の部品と色が違う気がする」「取引先から材料の確認を求められた」といった説明が、調べ方を考える出発点になります。
この記事では、分析方法が分からない段階での相談の仕方を、具体的な伝え方や、手元にあると役立つ資料とともにご紹介します。
分析方法を選ぶ前に、「何を知りたいか」から
同じ品物でも、知りたい内容によって調べ方は変わります。
たとえば樹脂製の部品について、「鉛などの元素が含まれているか」を調べることと、「特定の添加剤が含まれているか」を調べることは、異なる分析です。
蛍光X線分析は、含まれる元素を調べる方法です。
一方、フタル酸エステルのような有機化合物の種類や含有量を確認する場合には、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)など、別の方法が用いられます。
蛍光X線分析だけで、フタル酸エステルを特定することはできません。
つまり、「樹脂だからこの装置」「金属だからこの装置」と、品物の名前だけで方法が決まるわけではないのです。専門用語を覚えるよりも、「その品物について何を確かめたいのか」を伝えるほうが、適した方法の検討につながります。

(参考・参照)
日本分析機器工業会「RoHS 指令規制物質の分析 ―フタル酸エステルの分析―」
ご相談の際に、教えていただきたい三つのこと
最初にお問い合わせいただく際は、次の三つを分かる範囲でお知らせください。あわせて、試料の材質や大きさ、形状、個数、測定したい箇所、そして壊さずに残したいかどうかも、分かる範囲でお伝えいただけると助かります。写真があれば、試料に合った測定方法や装置を検討しやすくなります。

① 何に困っているのか
まずは、実際に起きていることを教えてください。
「入荷した部品の色が以前と違う」「製品の一部に黒い付着物がある」「材質が分からず、代替品を探せない」といった説明で構いません。
この段階では、原因まで考えておく必要はありません。
「材質が変わったせいだと思う」という予想があれば、そう考えた理由もお知らせください。
目で見て確認できたことと推測を分けていただくと、当ラボでも状況を把握しやすくなります。
② 何を確認したいのか
困りごとに続けて、分析ではっきりさせたいことを教えてください。
「以前の部品と材料に違いがあるか」「付着物が製品本体と同じ成分か」「仕様書に記載された材料と矛盾がないか」などです。
ここまで具体的に整理できない場合は、「何を確認すれば原因の手がかりになるか相談したい」でも大丈夫です。確認したい項目は、相談しながら整理できます。
③ 結果を何の判断に使いたいのか
分析結果の使い道も、分析方法や報告内容を検討するうえで大切な情報です。
社内で調査の方向を決めたいのか、仕入先へ説明したいのか、取引先から求められた資料として提出したいのか。
用途によって、確認すべき項目や、必要な記録の内容が変わるからです。
取引先から分析方法や提出書類の指定がある場合は、その依頼文や様式も共有してください。
「成分を調べて欲しい」という口頭の説明だけでは分からない条件が、書面に記載されていることもあります。
「部品を調べて欲しい」を、もう一歩具体的にする例
たとえば、次のような相談を考えてみます。
「仕入れた金属部品について、材質を調べて欲しいです。」
これでも相談の入口になりますが、背景を添えると、お客様の確認したいことが伝わりやすくなります。
「今月入荷した金属部品の色が、以前のものと違って見えます。形状と品番は同じです。以前の部品も残っています。材料や表面処理に違いがないかを確認し、仕入先に相談する際の資料にしたいと考えています。」
この説明なら、以前の部品と比較したいこと、表面の違いも気になっていること、結果を仕入先とのやり取りに使いたいことが分かります。

ただし、色が違うからといって、材料が変わったと決まるわけではありません。
相談では結論を先に出さず、「何が違って見えるのか」「何と比べたいのか」を伝えることが大切です。長い文章にする必要はなく、箇条書きでも構いません。
写真や資料は、「何を見て欲しいか」が分かるように
相談内容に加えて、手元にある写真や資料を共有していただくと、対象がより具体的に伝わります。すべてをそろえてから問い合わせる必要はありませんが、次の情報があるか確認してみましょう。

写真は、品物全体と気になる箇所をセットに
気になる部分の接写だけでは、製品のどの位置なのか分からないことがあります。
全体写真と確認したい箇所の写真をご用意いただくと、気になる箇所が製品全体のどの位置にあるのかを確認できます。その際、おおよその寸法も添えていただけると、当ラボでも品物の大きさや形状を把握しやすくなります。
特に大型の品物や特殊な形状の試料では、全体写真とおおよその寸法が、測定方法を決めるうえで欠かせない情報になります。
図面や仕様書は、実物と照らし合わせるために
お持ちの資料の中に、材質の記号や表面処理の指定があれば、その記載を共有してください。
専門用語の意味が分からなくても、無理に言い換える必要はありません。
資料に書かれた内容をそのままお伝えいただく方が、情報の抜けを防げます。
比較品は、何が違う品物なのかを明確に
以前の製品や問題が出ていない品物、別の仕入先から購入した品物など、比較できる対象があると、調査の幅が大きく広がります。未知の試料を単独で調べるだけでなく、正常品と問題品を同じ条件で測定して、「何が違うのか」を見つける進め方ができるからです。
「旧製品」「今回の入荷品」のように区別し、品番やロット、入手時期が分かれば添えてください。
比較する品物同士で使用期間や保管状況が違う場合は、その違いも情報になります。
見た目や測定結果に差があっても、材料の違いだけが理由とは限らないためです。
安心して当ラボをご利用いただくために
お客様が分析ではっきりさせたいことを伺い、当ラボはその目的に合う分析方法を検討します。設備の都合で目的を達成することが難しい場合は、無理にお引き受けせず、確認できる範囲と難しい範囲を正直にお伝えします。
ご提案する際は、何を調べるのか、結果からどこまで判断できるのかをご説明します。
たとえば、先ほどの「色が違って見える金属部品」では、以前の品物と材料に違いがあるかを確認したいのか、色が違う原因まで調べたいのかによって、必要な調査が変わります。
以前の品物との違いを確かめたい場合は、単品の材質評価だけでなく、旧品と新品を同じ条件で測定して比べる比較分析が適していることもあります。詳しくお話を伺うことで、こうしたより目的に合う調べ方が見えてきます。
元素の種類や割合を比較することは、材料の違いを調べる手がかりになります。
とはいえ、その結果だけで色の違いの原因まで特定できるとは限りません。原因を調べたい場合には、使用環境や保管状況なども確認し、測定結果とあわせて検討する必要があります。
そのため、ご相談の中で、次の内容をご説明します。
- 今回の分析で調べる内容
- 結果から判断できることと、判断が難しいこと
- 追加の調査が必要になる場合の進め方
- 分析結果の報告形式
こうした説明を通じて、お客様の知りたいことと、ご提案する分析内容が合っているかを確認します。
説明が分かりにくい場合や、「知りたいのは別のこと」と感じられた場合は、遠慮なくお知らせください。
費用や納期のご希望も、相談時にお知らせください
「予算が限られている」「取引先への回答期限がある」といった事情も、相談時に教えていただきたい情報です。
希望納期は「なるべく早く」だけでなく、「○月○日までに社内で方針を決めたい」のように、必要な時期と理由をお伝えください。
また、品物を返却して欲しい、切断や加工を避けたい、代わりがないため一部しか提供できない、といった条件があれば、先にお伝えください。
当ラボにとって、分析方法だけでなく、調べる箇所や試料の扱いを検討するための情報になります。
見積りを確認する際は、金額に加えて、対象となる品物の数、測定箇所、報告書の有無などもご確認ください。
どのサービスを選べばよいか分からない段階から、ご相談ください
にじや分析ラボでは、分析内容が決まっていない段階からご相談いただけます。
調べたい内容を確認したうえで、対応可能な分析方法や測定箇所、料金の目安などをご案内しています。
写真を送りながら相談したい場合はLINE、分析目的や試料の情報、図面・仕様書などを詳しく共有したい場合はWebフォームをご利用いただけます。
相談フォームを送信した時点では、分析依頼は確定しません。
まずは手元の品物と、現在困っていることをお知らせください。
試料の発送は、当ラボからの案内を受けてからお願いいたします。
下記のお問い合わせフォームもしくはLINEから、お気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

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にじや分析ラボ 分析担当
株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや分析ラボにて、島津製作所 EDX-7200を中心とした蛍光X線分析(XRF)による材料分析・元素分析・材質評価に取り組んでいます。
「材質が分からない」
「仕入れた部品が以前と違う」
「良品と不良品の違いを調べたい」
「めっきや表面処理を確認したい」
「不具合が発生したが、何を調べればよいか分からない」
こうした中小企業・小規模事業者が抱える材料・品質・調達・不具合などの課題に対し、分析を問題解決に活用することを目指しています。
「分析設備と分析担当者を、必要なときだけ。」
社内に高額な分析設備や専任の分析担当者を置くことが難しい企業のための「外部分析室」として、分析方法が決まっていない段階からご相談いただける体制づくりを進めています。
■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや分析ラボ 分析担当
■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設
■分析・技術分野
・蛍光X線分析(XRF)
・元素分析
・材質評価
・製品・部品の比較分析
・めっき・表面分析
・膜厚分析
・RoHSスクリーニング
・不具合・原因調査
・サイレントチェンジ調査
■主な分析・測定機器
・島津製作所 EDX-7200
・SPECTRO SCOUT
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ






