
こんなお困りごとはありませんか
同じ製品を発注したはずなのに、届いた製品のめっきの色や光沢が以前と違う。「前より黄色っぽい」「白っぽく見える」「光沢がなく、くすんでいる」など、納入された部品を見て違和感を覚えたことはありませんか。
このようなとき、「めっきの種類が変わったのではないか」「材料そのものが変更されたのではないか」と心配になります。ただ、めっきの色は、表面の成分だけでなく、膜厚や下地の状態、照明、見る角度など、さまざまな条件によって変わって見えます。
実際に調べてみると、成分や膜厚に違いが見つかる場合もあれば、測定上は大きな違いがなく、光の当たり方や表面の状態が原因だったと分かる場合もあります。思い込みで決めず、まず同じ条件で比べてみることをおすすめしています。
色が違うからといって材質変更とは限りません
めっきの色は、めっきの種類だけで決まるものではありません。
- めっきに含まれる成分
- めっきの膜厚
- その下にある素材や下地処理
- 表面の粗さ
- めっき前の洗浄や研磨
などによっても、色合いや光沢は変化します。
同じ種類のめっきであっても、膜厚が少し変わるだけで色が濃く見えたり、薄く見えたりします。もっとも、膜厚と色調の関係は、めっきの種類や下地、表面の状態によって変わります。膜厚の差だけを色差の原因と決めつけず、成分や下地、表面状態とあわせて見ていく必要があります。
下地の状態が異なる場合は、光の反射の仕方が変わり、「以前より明るい」「光沢が弱い」と感じることもあります。製品を見る場所や照明が変わっただけで、色の印象が変わることもあります。
そのため、色の違いだけで、すぐに「材質が変わった」と判断するのは早計です。一方で、見た目の変化を「気のせい」として片づけるのも適切ではありません。まずは、旧品と現行品を同じ条件で比較し、必要に応じて成分や膜厚を確認することが大切です。
まずは旧品と現行品をそろえる
色の違いを調べるには、比較できる製品を準備します。できれば、次のような情報をそろえておきましょう。
- 色が違うと感じる現行品
- 以前に納入された旧品
- それぞれの納入時期
- 製造番号やロット番号
- 仕入先や製造工場の情報
- 図面や仕様書
- めっきの種類、膜厚、色などの指定内容
旧品が手元にないと、「以前より黄色い」「白っぽい」といった感覚を客観的に比べることが難しくなります。可能であれば、旧品と現行品を同じ照明の下に並べ、同じ角度から確認してください。写真を撮る場合も、照明や撮影条件をそろえます。
表面に油分、指紋、汚れ、さびなどが付いているだけで、光沢や色が違って見えることもあります。比較する前に、製品の表面の状態も確認しておきましょう。

めっきの色を左右する主な原因
実際に色の違いが確認できた場合、次のような原因が考えられます。
めっきの成分や処理液が変わった
めっきに使用する材料や処理液の組成が変わると、表面の色や光沢に影響します。仕入先が使用材料を変更した、処理液の補充や交換時期が変わった、めっき浴と呼ばれる処理液の成分や管理状態が変化したなど、製造工程の変更が関係している可能性があります。
めっきの膜厚が変わった
めっきの膜厚が、旧品と現行品で異なっていることもあります。仕様の範囲内であっても、膜厚に差があれば、色の濃さや光沢の見え方が変わります。膜厚が薄くなって下地の影響を受けやすくなっている場合や、厚くなって色が濃く見える場合があります。膜厚は外観だけで判断することが難しいため、測定による確認が必要です。
下地処理や前処理が変わった
めっき前に行う脱脂、洗浄、研磨などの前処理が変わると、めっき後の表面の状態も変化します。下地の粗さや均一性が異なると、めっきの密着性や光の反射に影響し、同じ種類のめっきでも色や光沢が違って見えます。
製造条件やロットが変わった
めっき処理時の温度、時間、電流、製品の配置などが変わった場合も、仕上がりに差が出ます。特定のロットだけ色が違う場合は、製造時期や設備、担当工場、処理条件に変更がなかったかを確認するとよいでしょう。

蛍光X線分析で旧品と現行品を比較する
めっきの色の違いを客観的に調べる方法の一つが、蛍光X線分析です。試料にX線を照射し、含まれている元素を調べます。製品を大きく壊さずに測定できるため、完成品の状態を保ったまま、表面のめっきや下地の成分を確認できます。
条件によっては、めっきの種類だけでなく、めっきの膜厚を測定することもできます。
(参考)
・日立ハイテク「蛍光X線分析法による多層めっきの膜厚測定」
・東京都立産業技術研究センター「蛍光X線膜厚計」
調査では、現行品だけを測定するのではなく、旧品と現行品を同じ条件で比較することが大切です。まず表面の元素やめっき構成に違いがないかを確認し、そのうえで膜厚や測定位置による差を見ていきます。
当ラボでは、旧品と現行品、あるいは正常品と色差品を、できるだけ同じ測定条件・同じ位置関係で比較し、「差がある項目」と「差が確認できない項目」を分けて整理しています。

確認の順番としては、
- 旧品と現行品を同じ条件で外観比較する
- 表面の元素組成を比較する
- めっき構成や下地の違いを確認する
- 可能な条件で膜厚を比較する
- 測定位置を変えてばらつきがないかを見る
という流れです。大事なのは、現行品だけの数値を見るのではなく、正常だった旧品や仕様書を基準に「何が変わったか」を比べることです。
なお、色差は、蛍光X線で測れる元素組成や膜厚だけで決まるものではありません。表面の粗さ、研磨の状態、酸化や変色、汚れ、前処理、光沢なども関係します。蛍光X線で差が確認できない場合は、別の観察や分析の方法を検討します。
「違いがなかった」という結果にも意味がある
分析の結果、旧品と現行品で、めっきの成分や膜厚に大きな違いが見つからない場合もあります。その場合でも、調査が無駄になるわけではありません。色の違いが照明、表面の汚れ、保管状態、見る角度などによるものだと分かれば、不要な仕様変更や仕入先との行き違いを防げます。
反対に、成分や膜厚に差が見つかれば、仕入先へ具体的な確認ができます。「色が違う」という感覚だけで相談するよりも、「旧品と現行品で特定の成分に差がある」「膜厚が異なっている」と説明できる方が、原因究明や工程の確認を進めやすくなります。
色の違いを感じたときは、思い込みで結論を出すのではなく、比較できる資料と製品をそろえ、データで確認することが解決への近道です。
めっきの色の違いでお困りの方へ
同じ製品なのに、めっきの色や光沢が以前と違って見える場合、めっき成分、膜厚、下地、前処理、製造条件など、複数の原因が考えられます。にじや分析ラボでは、めっき部品や金属製品について、旧品と現行品の成分や膜厚を比較し、違いの確認をお手伝いしています。
「色が変わった気がする」「仕入先へ問い合わせる前に調べたい」という段階でもご相談いただけます。現行品だけでなく、以前の製品、図面、仕様書、納入時期やロット情報などもあわせてご用意ください。
投稿者プロフィール

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にじや分析ラボ 分析担当
株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや分析ラボにて、島津製作所 EDX-7200を中心とした蛍光X線分析(XRF)による材料分析・元素分析・材質評価に取り組んでいます。
「材質が分からない」
「仕入れた部品が以前と違う」
「良品と不良品の違いを調べたい」
「めっきや表面処理を確認したい」
「不具合が発生したが、何を調べればよいか分からない」
こうした中小企業・小規模事業者が抱える材料・品質・調達・不具合などの課題に対し、分析を問題解決に活用することを目指しています。
「分析設備と分析担当者を、必要なときだけ。」
社内に高額な分析設備や専任の分析担当者を置くことが難しい企業のための「外部分析室」として、分析方法が決まっていない段階からご相談いただける体制づくりを進めています。
■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや分析ラボ 分析担当
■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設
■分析・技術分野
・蛍光X線分析(XRF)
・元素分析
・材質評価
・製品・部品の比較分析
・めっき・表面分析
・膜厚分析
・RoHSスクリーニング
・不具合・原因調査
・サイレントチェンジ調査
■主な分析・測定機器
・島津製作所 EDX-7200
・SPECTRO SCOUT
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ






