こんなお困りごとはありませんか

古い設備の交換部品を手配しようとしたとき、あるいは長く倉庫に眠っていた在庫を使おうとしたときに、「この部品は何でできているのだろう」と、思わず手が止まってしまうことはありませんか。

図面も仕様書も見当たりません。以前の担当者はすでに退職しています。見た目だけでは材質の判断がつかず、発注も代替品の選定も先に進められません。こうして立ち止まってしまう場面は、製造や調達の現場では決して珍しくありません。

当ラボにも、こうしたご相談は日常的に届きます。古い機械や設備に使われている金属部品、長いあいだ保管されていた部品について、「図面も資料も残っていないのですが、材質を調べられませんか」というお問い合わせです。

先日も、交換部品を作りたいのに元の材質が分からず困っている、というご相談をいただきました。長く続いている会社ほど、素性の分からない部品を一つ二つ抱えているものです。

材質が分からないと、なぜ困るのか

材質が分からないと、まったく同じ部品を発注し直すことも、代わりになる部品を選ぶことも難しくなります。

特に金属は、見た目がよく似ていても、成分が少し違うだけで強度や耐食性、加工のしやすさが大きく変わります。同じ銀色の金属でも、ステンレスなのか、アルミなのか、鉄にめっきをしたものなのかで、使える場所も寿命もまったく変わってきます。

ステンレスと一口に言っても種類は多く、さびにくさや強度はそれぞれ違います。「たぶんステンレスだろう」という思い込みで代替品を選んでしまうと、後になって割れやサビといった不具合につながり、かえって大きな損失を招きます。ここは避けたいところです。

図面が残らなくなるのは、よくあることです

図面や仕様書が手元にない状態は、管理が悪かったからというより、時間の経過とともにどの企業でも自然に起こります。設備が古いほど当時の資料は失われがちですし、担当者の交代で引き継ぎが途切れることもあります。

そもそも図面を残さず、現物合わせで作られた部品も少なくありません。長年使ってきた治具や、先代からある機械の部品などは、その典型です。

実際に当ラボへ寄せられるご相談も、「交換部品を製作・調達したいが、元の材質が分からない」「見た目はステンレスのようだが、実際にどのような材質なのか確認したい」といった内容が多くを占めます。

ですから、「資料がないのは自社の落ち度ではないか」と気にされる必要はありません。同じ悩みを抱えている会社は、表に出てこないだけで、実はたくさんあります。

まず社内で確認しておきたいこと

現物を調べる前に、手元の情報を整理しておくと、その後の確認が楽になります。

  • 部品に刻印や型番が残っていないか
  • 過去の発注書や納品書に材質の記載がないか
  • 似た部品の図面が別のファイルに残っていないか

といった点をまず確認してみてください。裏側や端のほうに、小さく刻印が打たれていることもあります。

  • また、その部品がどこで、どんな環境で使われていたのかを覚えている方に聞いておくことも、材質を絞り込む大切な手がかりになります。
  • 磁石がつくかどうかを見るだけでも、鉄系なのか、そうでないのか、おおまかな見当がつくことがあります。

ただし、こうした簡易的な確認では種類の特定まではできませんので、あくまで最初の一歩とお考えください。

たとえば、こんな確認の流れになります

実際の流れをイメージすると、分かりやすいかもしれません。

  • まず、部品の写真や、分かっている使用場所などの情報を整理します。
  • 次に、現物の表面を測定して、含まれる元素の種類と、おおよその割合を調べます。
  • そのうえで、その組成を公開されている材料規格と照らし合わせ、「この材料の可能性が高い」という候補を絞り込んでいきます。

候補が複数残ることもありますが、「少なくともこの範囲の材料である」というところまで分かれば、代替品を選ぶ判断材料としては十分に役立ちます。一発で言い当てるというより、確からしい範囲へ絞り込んでいく作業だとお考えください。

ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。実際に測ってみると、外観から想像していた材質と結果が食い違うことがあるのです。これまでにも、ステンレスだと思われていた部品を分析したところ、想像とは違う材質だった、というケースがありました。

見た目が似ていても中身は別物、ということは金属では珍しくありません。表面にめっきや表面処理が施されていれば、外観だけで内部の材質を見分けるのは、なおさら難しくなります。

だからこそ当ラボでは、見た目や磁石への反応だけで材質を決めることはしません。X線分析で実際に検出された元素とその割合を確かめ、材料規格と照らし合わせながら、材質の候補を絞り込んでいます。

それでも分からないときは、現物そのものを調べる

資料をたどっても分からない場合は、部品そのものを調べるという方法があります。

金属には、それぞれ決まった元素が、決まったおおよその割合で含まれています。

その元素の種類と割合を測定し、日本産業規格(JIS)などで一般に公開されている材料規格と照らし合わせることで、「この成分の組み合わせなら、この材料の可能性が高い」と見当をつけられる場合があります。

なかでも、X線を当てて成分を調べる蛍光X線分析という方法は、部品を削ったり溶かしたりせずに測定できるため、大切な現物を残したまま確認できるという利点があります。

にじや分析ラボでの対応

当ラボでも、この蛍光X線分析で得られた元素組成を、材料規格と照合しています。たとえばステンレス系であれば、鉄(Fe)やクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)といった元素の割合を確認し、規格と比べながら材質の可能性を見極めていきます。

分析装置メーカーの島津製作所も、周囲の材料の影響を抑えて測定することで、ステンレスの一種であるSUS316のように、材質まで見分けられる例を公開しています。

(参考)
島津製作所「EDX-7200 アプリケーション」

成分だけでは分からないこともあります

ただし、成分から材質の見当をつけられても、成分だけでは分からない部分があります。たとえば、同じ成分の金属でも、熱処理の履歴によって硬さや強度が変わります。表面にめっきや塗装がされていれば、表面と内部とで見える成分が違ってくることもあります。

X線分析も万能ではありません。表面処理の状態や材質によっては、表面から得られる情報だけでは内部の材質まで判断しきれず、追加の測定や別の分析方法が必要になることがあります。

にじや分析ラボでの対応

当ラボでは、装置に表示された材質名をそのまま鵜呑みにすることはしません。実際に測定した元素の組成や、試料の状態を一つずつ確かめながら、「どこまで判断できるのか」「追加の測定や別の分析が必要か」まで含めてお伝えしています。

「この材質です」と無理に言い切るのではなく、分析結果からどこまで言えるのかを正直にお伝えすることを、何より大切にしています。

分析結果は、材質を絞り込むための客観的な手がかりです。最終的に使うかどうかは、ご自身の用途に照らして判断していただくと安心です。分析は判断を代わりに下すものではなく、判断のための材料をそろえるものだとお考えください。

にじや分析ラボにご相談ください

「図面がないから調べようがない」とあきらめてしまう前に、現物から材質を確認するという選択肢があります。

にじや分析ラボでは、材質の分からない部品について、含まれる元素を調べ、公開されている規格と照らし合わせて材料の見当をつけるお手伝いをしています。

まずは「こんな部品なのですが」と、写真を添えてお気軽にご相談ください。

どこから手をつければよいか、一緒に整理するところから始められます。

下記のお問い合わせフォームもしくはLINEから、お気軽にお問い合わせください。

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  にじや質店(東京都青梅市野上町)
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投稿者プロフィール

佐々木 英明
佐々木 英明
にじや分析ラボ 分析担当

株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや分析ラボにて、島津製作所 EDX-7200を中心とした蛍光X線分析(XRF)による材料分析・元素分析・材質評価に取り組んでいます。

「材質が分からない」
「仕入れた部品が以前と違う」
「良品と不良品の違いを調べたい」
「めっきや表面処理を確認したい」
「不具合が発生したが、何を調べればよいか分からない」

こうした中小企業・小規模事業者が抱える材料・品質・調達・不具合などの課題に対し、分析を問題解決に活用することを目指しています。

「分析設備と分析担当者を、必要なときだけ。」

社内に高額な分析設備や専任の分析担当者を置くことが難しい企業のための「外部分析室」として、分析方法が決まっていない段階からご相談いただける体制づくりを進めています。

■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや分析ラボ 分析担当

■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者

■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設

■分析・技術分野
・蛍光X線分析(XRF)
・元素分析
・材質評価
・製品・部品の比較分析
・めっき・表面分析
・膜厚分析
・RoHSスクリーニング
・不具合・原因調査
・サイレントチェンジ調査

■主な分析・測定機器
・島津製作所 EDX-7200
・SPECTRO SCOUT
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ

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