
こんなお困りごとはありませんか
発注したときの仕様と、実際に届いた部品を見比べて、手に取ってみて、「何となく色や質感が想定していた部品と違う気がする」と感じたことはありませんか。
はっきりした証拠はないけれど、どこか引っかかる、かといって、感覚だけで仕入先に「これは違うのでは」と伝えるのは気が引ける、購買や品質を担当されている方なら、一度はご経験があるのではないでしょうか。
特に、仕入先を変えた直後や、先方の担当者が代わった後に、こうした違和感を覚えることが多いようです。
当ラボにも、材質の違和感を確かめたいというご相談が寄せられます。たとえば「ステンレスとして納入されたけれど、本当に指定した材質なのか確認したい」「以前の部品と同じ仕様のはずなのに、成分に違いがないか見てほしい」といったご相談です。
外観だけでは判断が難しいので、X線分析で実際の元素組成を測り、仕様書や材料規格、比較対象となる部品の測定結果と照らし合わせて確認しています。
仕様と違う材質を使ってしまうと、何が起こるか
仕様と違う材質の部品をそのまま使ってしまうと、強度や耐食性が想定と変わり、後工程や完成品の品質に影響することがあります。
品質管理の中でも、特に上流工程の材料品質のところは非常に重要です。
例えば、屋外で使う部品に、本来より錆びやすい材料が使われていれば、思ったより早く傷んでしまうかもしれません。
強度が求められる部品であれば、変形や破損の原因にもなりかねません。
しかも、こうした不具合は、使い始めてしばらく経ってから現れることが多く、原因を後から突き止めるのは簡単ではありません。
もちろん、そんな状況になれば、工程を遡っての作り直しが必要になるため、費用負担もかなり大きなものになってしまいます。
だからこそ、「何となく違う」で済ませず、受け入れの段階で客観的に確認できる材料を揃えておくことが大切です。
まず手元の書類を確認する(ミルシートとは)
現物を調べる前に、まず発注時の仕様書、図面、そしてミルシートを見比べてみてください。
ミルシートとは、正式には「鋼材検査証明書」と呼ばれ、その鋼材の化学成分や機械的性質、規格値と実際の測定値などが記載された、品質を裏づける書類です。

(参考)
電子帳票ナビ|ミルシートとは?基礎知識や電子化により管理を効率化する方法、成功事例を解説!
化学成分の欄には、炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄といった元素の割合が示されており、これらが発注した材質記号の規格に収まっているかを確認します。
ミルシートの記載内容や発行の手順そのものは、日本産業規格のJIS G 0415として定められています。
(参考)JIS G 0415
まずは、このミルシートと発注内容が一致しているかを見比べることが、確認の出発点になります。
材質記号と実際の成分を照らし合わせる
例えば、一般的な構造用の鋼材と、さびに強いステンレス鋼とでは、含まれる元素の種類や割合が異なります。
仕様で指定された材質記号には、それぞれ「この元素はどのくらいの範囲まで」という決まりがあり、ミルシートや現物の成分がその範囲に収まっているかどうかで、指定通りの材料かどうかを判断します。
逆に言えば、指定された記号の規格から外れた元素が見つかれば、そこが確認すべきポイントになります。
難しく考える必要はなく、「指定した材料の決まりと、実際の中身が合っているか」を照らし合わせる、というのが基本の考え方です。
書類だけでは分からないこともあります
ただし、ミルシートがあっても、必ずしも安心とは言い切れません。
ミルシートはあくまで、その材料が作られたときの証明であり、実際に手元に届いた現物の一つひとつと必ず結びついているとは限らないからです。
ミルシートと現物が必ずしも一致しない理由は、大きく分けて以下の3点です。
- 個別の証明ではない
ミルシートは「同じ時期に大量に作られたグループ(ロット)」全体の証明書です。手元にある現物そのものをピンポイントで検査したデータではありません。 - 取り違えのリスクがある
途中の流通過程で、見た目がそっくりな別の材料や他社製品が混ざってしまうというヒューマンエラーが起こる可能性があります。 - 出荷後の変化は分からない
書類はあくまで「工場を出荷した時点」のものです。その後に発生したサビやキズなどの状態変化は記録されていません。

さらに、そもそもミルシートが付いてこない部品や、書類が届いても現物との対応がはっきりしない部品もあります。
書類はとても大切な情報ですが、書類だけですべてを判断するのは難しい、という点は知っておきたいところです。
書類で確かめきれないときは、現物を調べる
書類がそろっていても不安が残る場合や、ミルシートがそもそもない場合は、現物そのものを調べるという方法があります。
届いた部品に含まれる元素を測定し、仕様として指定した材料規格と照らし合わせることで、両者が整合しているかを客観的に確認できます。
にじや分析ラボでの対応
私たちも、仕様書やミルシートといった資料があるときは、その記載だけで判断するのではなく、現物の測定結果と照らし合わせて確認しています。X線分析で得られた元素組成を、指定された材質の規格値や、比較対象となる部品の測定結果と見比べる、というやり方です。
問題がなければ「現物の測定結果も仕様と整合している」という客観的な確認材料になりますし、もし違いが見つかれば、感覚ではなく測定データをもとに、取引先へ確認していただく材料になります。

蛍光X線分析であれば、部品を壊さずに測定できるため、確認したあとの部品を、そのまま製品に使うことも可能です。
書類と現物、その両方から確かめられれば、より安心して受け入れの判断ができます。

「疑う」ためではなく「確かめる」ために
こうした確認は、仕入先を疑うために行うものではなく、客観的なデータがあることで、仕入先との話し合いを感情的にならずに進めるためにも大事なことです。
私たちも、測定の結果だけから「取引先が間違えている」「材質が違う」と決めつけることはしません。まずは現物から得られた測定データを、客観的な確認材料としてお示しすることを大事にしています。
あわせて、X線分析で確認できる範囲と、追加の測定や別の分析が必要になる範囲とを分けてお伝えし、仕様書やミルシートといった資料と照らし合わせて、最終的にご判断いただく形にしています。
何も問題がないことが分かればお互いに安心できますし、実際に違いがあれば、事実にもとづいて改善の相談もしやすくなります。
感覚だけで指摘するとどうしても角が立ちますが、データを介せば「一緒に原因を確かめましょう」という前向きな話にしやすくなります。
一手間かかりますが、後から分かった際の費用や信用を考えれば、事前確認は、良い取引関係を長く続けるための土台にもなるはずです。
にじや分析ラボにご相談ください
そのような、なんとなく大丈夫だろうで済ませている違和感を、確かな情報に変えてみませんか?
にじや分析ラボでは、納入された部品が仕様と合っているかを、現物の測定から確認するお手伝いをしています。
「仕様と違う気がする」という段階でも構いません。手元の書類と現物を前に、何をどう確認すればよいか、一緒に整理し、ご安心いただける結果をご提供させていただきます。
下記のお問い合わせフォームもしくはLINEから、お気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール

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にじや分析ラボ 分析担当
株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや分析ラボにて、島津製作所 EDX-7200を中心とした蛍光X線分析(XRF)による材料分析・元素分析・材質評価に取り組んでいます。
「材質が分からない」
「仕入れた部品が以前と違う」
「良品と不良品の違いを調べたい」
「めっきや表面処理を確認したい」
「不具合が発生したが、何を調べればよいか分からない」
こうした中小企業・小規模事業者が抱える材料・品質・調達・不具合などの課題に対し、分析を問題解決に活用することを目指しています。
「分析設備と分析担当者を、必要なときだけ。」
社内に高額な分析設備や専任の分析担当者を置くことが難しい企業のための「外部分析室」として、分析方法が決まっていない段階からご相談いただける体制づくりを進めています。
■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや分析ラボ 分析担当
■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設
■分析・技術分野
・蛍光X線分析(XRF)
・元素分析
・材質評価
・製品・部品の比較分析
・めっき・表面分析
・膜厚分析
・RoHSスクリーニング
・不具合・原因調査
・サイレントチェンジ調査
■主な分析・測定機器
・島津製作所 EDX-7200
・SPECTRO SCOUT
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ






